【ボッチ系コメディ】佐倉準『湯神くんには友達がいない』レビュー(感想)してみた
湯神くんには友達がいない
サンデーで一番好きかもしれない
サンデーを定期購読している人でも、この作品を知らない人は一定の数いると思います。それはズバリ、この作品が一ヶ月に一度しか掲載されないからです。何故週刊誌で連載しているのか、本当に謎です。けれど、それでも月イチの掲載でも週刊誌で連載できているというのが、この作品のポテンシャルの高さを表しているように感じます。Amazonの星を見ればわかりますが、かなり評価が高いです。
高品質なコメディでもあり、恋愛モノでもある
サンデーは本当に恋愛モノの作品が多く、間違いなく大手週刊誌の中で一番恋愛モノの比率が高いです。そんな中においても、この作品の恋愛回は現在連載されている恋愛モノの中で、トップ3に入るくらいには面白いです。
基本は公式が言っているとおり、湯神君の”超マイペースお一人様コメディー”なんですが、そのマイペースぶりに巻き込まれるちひろちゃんが可愛いんです。連載初期は恋愛の波動は感じないのですが、巻が進むごとに波動を感じるのが、個人的には安易な人間関係ではないと感じるので、とても好きです。ラノベや最近の恋愛モノにありがちな、出会って5秒でフォーリン・ラブ!みたいなのはもうお腹いっぱいなので……笑
ガチガチの恋愛モノを求めている人には恋愛成分が足りないと思いますが、たまに出てくる恋愛の空気感みたいなものが好きな人は、十分ハマると思います。
それでも基本はコメディ
『となりの関くん』という作品が一時期話題になりましたね。覚えている人もいるのではないでしょうか?
湯神くんは関くんのように、自分で設定した目標を達成することに喜びを見出すタイプです。関くんの場合は授業中にこっそりと遊ぶこと。湯神くんの場合は野球部での練習や学校の宿題、日常の細かなことにも目標を設定しており、それらを達成することに日々を費やしています。関くんは結構外交的なのですが、湯神くんの場合は、本当に友達がいません。
その理由は湯神くん自体が友人を必要としていないというのと、もう一つ、彼の性格に難がありすぎるからです。彼は自尊心をとても大切にしており、人がなあなあで済ませてしまうようなことにも一々言及したりします。そんなわけで周りの人間とは衝突しまくりで、その割をくうのは、大体席が隣のちひろちゃん。笑
彼女は結構なお人好しで、なんだかんだ湯神くんの肩をもとうとすることが多いのです。
湯神くんとちひろちゃん
二人は対極の存在として描かれています。
湯神くん
友だちはいらない
周りのことは気にしない
自分さえよければそれでいい
ちひろちゃん
友達がほしい
いつも周囲の反応を伺ってばかり
気立てが良い
こんな感じに全く異なる性格の二人ですが、時折二人が似た者同士な気がすることもあります。ちひろちゃんは羊毛フェルトというのにハマるのですが、これやったことのある人ならわかると思うんですけど、ひたすらに綿というか、糸?に針をブスブス刺すだけなんです。そして湯神くんはヤスリがけにハマります。笑
二人共心を無にすることが好きみたいです。
こんな二人の掛け合いはとてもおもしろく、シュールでもあり、愛おしくもあります。不憫なちひろちゃんを応援するもよし、湯神くんの自由奔放さを楽しむもよし。是非一度、読んでみてください。
- 作者: 佐倉準
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/11/16
- メディア: コミック
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