【レオナルド・ディカプリオ主演】レヴェナント: 蘇えりし者の感想/レビュー
目次
初めに
今回取り扱わせていただく作品は、アメリカで 2016年1月8日に一般公開され、2016年4月22日に日本で上映された「レヴェナント: 蘇えりし者」(The Revenant)です。
この作品は1971年に公開された「荒野に生きる」のリメイク作品にあたります。
主演はタイタニックやインセプションなどにも出演している実力派俳優のレオナルド・ディカプリオさん。個人的にはこれらの作品よりもウルフ・オブ・ウォールストリートのほうが印象に強いです。
今回の作品で彼はかねてより望んでいたアカデミー賞受賞を果たしたようで、それも納得の素晴らしい演技でした。
彼の演技や端正な顔立ちに落ちたファンの数は中々のもので、レオ様なんていう呼び名ができるくらいには熱狂的なファンも数多いようです。
作品について
あらすじ
1823年、アメリカ北西部の極寒地帯。とある毛皮ハンターの一団は先住民の襲撃を受け、多大な犠牲を払いながら命からがら川を下っていた。ハンターのひとり、ヒュー・グラスは先住民の妻との間にもうけた息子、ホークとともにガイドとして同行していた。船を捨て山越えルートを進んでいた最中、グラスは見回り中に子連れの熊に襲われ重傷を負う。隊長のアンドリュー・ヘンリーは瀕死のグラスを残して出発することを決断し、彼の最期を看取り埋葬する者として、ホークとジョン・フィッツジェラルド、若いジム・ブリッジャーが残ることになった。ジョンは2人がいない間にグラスを殺そうとするところをホークに見つかり銃を向けられるが、返り討ちに殺してしまう。一部始終を見ていたが動けないグラスは奇跡的に一命をとりとめ、折れた足を引きずり這いながらジョンを追い始めた。
物語としては復讐劇ですね。
幻想的な映像美の秘密
この作品はどのシーンで止めたとしても幻想的な美しい映像が広がっています。その映像美は、物語の有無に係なく人を引き込めるのではないかと思ってしまうほど。
そんな美しい映像にはもちろん秘密があります。
照明は人工的な光はけして使わず、太陽や火などの自然光のみを頼った撮影だったらしいのです。
更にはマジックアワー、あるいはゴールデンアワーと呼ばれる1日1時間半程度の黄昏時の撮影にこだわって、東向きの「朝用」と西向きの「夕方用」の2種類の撮影セットを用意していたようです。
これらの時間帯は太陽が顔を見せておらず、ほとんど影ができない時間帯であり、その光景は普段とは違う幻想的なものになります。
作中の日の高さに注意をはらって見ると、日が高い場面がほとんど無いことに気づきます。
過酷な撮影環境
9ヶ月間にも及ぶ撮影は極地で行われました。
ただでさえ雪が降るような寒さであるのに、凍った川に入るシーンも少なくなく、本物の生肉を食べ、動物の死体の中で眠る等の過酷なものもあったようです。
かなり辛い撮影であったことは想像に難くないですね。
批評
この作品はストーリーがよく出来ているというわけではないですが、私の中ではかなり高評価になっています。
と言いますのも、これは映像作品であり、映像作品には
物語
役者の演技
音響
映像
演出
全部で5つの要素があると思うからです。
レヴェナント: 蘇えりし者は物語は可もなく不可もなくといった感じです。どんでん返しなんかがあるわけでもないですから。そもそもこれは実話を元にしているということなので、物語性をあえてつけなかった可能性があります。
まあグリズリーをナイフで倒したりもしていましたが……。
なので、この映画に物語で期待するのは少し間違っているような気もします。
代わりに、他の4つの要素は満点近いです。
役者の演技は主人公がディカプリオさんなので言うに及ばず、他の役者さんも素晴らしかったです。
適役にあたるフィッツジェラルドはトム・ハーディさんが演じています。この方も素晴らしい俳優さんで、お二人はインセプション以来の共演だそうです。
他の役者さんもかなり豪華です。
音響も本当によく、グイグイと作品に引き込んできます。この作品は環境音がかなり多く、それも川のせせらぎや風の音など、自然の音であり、人の立てる音というのが非常に少ないです。
熊との戦いの最中、主人公がうつ伏せに倒れるシーンがあり、その場面で虫の羽音がするのですが、こういった些細な事が視聴者を画面の世界に没入させます。
視聴時には、これらにも注目してほしいところです。
なので視聴は音を楽しむため字幕で見るのと映像を楽しむため吹き替えで見る二回をおすすめします。
映像。これは言うまでもないでしょう。この作品を見た方なら全員その幻想的なシーンに圧倒されるはずです。
作品に引き込んでくるのは映像や音響だけではありません。演出もです。いえ、むしろ演出がいちばん大切かもしれません。演出が最低だと他のすべてを台無しにしてしまいますから。
一番最初の冒頭にわけの分からない映像が流れます。そこで我々視聴者を混乱させたあとに、シーンは一転して川の流れが映されます。ここで我々は考えを整理させながら、川のせせらぎ音によって一気に作品の世界に入り込ませられるのです。
実際に見ればこの冒頭だけでこの作品の凄さがわかると思います。
最後に
この作品は私が見てきた中でも5本の指には入ると思います。間違いなく他人にもおすすめできる作品です。
物語3.0/5.0
役者の演技4.8/5.0
音響5.0/5.0
映像 5.0/5.0
演出4.7/5.0